82歳、今も現役。革の表情を見極める裁断職人・大橋さん
Share
駒屋の製作現場で裁断の仕事を続けてきて、気づけば82歳。 今も現役で革と向き合う裁断職人の大橋さんに、仕事への想いや駒屋で過ごした日々について話を聞きました。
やっぱり、革を見るには年季(経験)が必要だね
若い頃からずっと革と向き合い、毎日のように裁断機の前に立ってきましたが、今でも現場に入ると自然と背筋が伸びます。
裁断という仕事は、ただ革を切るだけではありません。
天然皮革には傷やシワ、血筋など、一枚一枚異なる個性があります。同じ革は二つとして存在しません。その革の表情を見ながら、どの部分を使い、どの部分を避けるのかを判断していくのが裁断職人の仕事です。
特に財布や革小物は、お客様の目に触れる部分の美しさが大切です。
製品になった姿を頭の中で思い描きながら、どの部分を表面に使えば最も美しく見えるのかを考えて裁断しています。
長年続けていても難しい仕事ですが、その難しさこそが裁断の面白さでもあります。
裁断前に革の状態を確認する大橋。傷やシワ、血筋などを見極めながら最適な裁断位置を判断しています。
クリッカーによる裁断工程
クリッカーと呼ばれる裁断機を使用し、革小物のパーツを正確に裁断する大橋さん。
駒屋では、クリッカーと呼ばれる裁断機を使用して革小物のパーツを裁断しています。
機械を使う工程ではありますが、どこに抜き型を配置するかは職人の判断です。
革の状態や繊維の流れ、傷の位置を見極めながら裁断することで、製品の美しさや耐久性を支えています。
一枚の革からどのようにパーツを取るかによって、完成品の印象は大きく変わります。長年培った経験をもとに、革の個性を見極めながら最適な裁断を行っています。
仕事も遊びも全力だった時代
若い頃の駒屋は、仕事も遊びも全力でした。
会社には野球チームがあり、私は外野を守っていました。大柄な体格を生かした強打者として試合に出場し、仲間たちと白球を追いかけた日々は今でも忘れられません。
朝は野球の朝練をして、そのまま仕事へ向かい、夜はナイター。試合が終われば仲間と飲みに行く。そんな毎日でした。
今思えば本当に元気でしたが、一緒に汗を流した仲間との時間は今でも大切な思い出です。
駒屋のものづくりを支える職人技
長く続けてきて思うのは、この仕事は誤魔化しがきかないということです。
丁寧に向き合えば革は応えてくれるし、雑に扱えば仕上がりにそのまま表れる。
だから今でも、一枚一枚の革と真剣に向き合うことを大切にしています。
ものづくりは、毎日の積み重ね。革を見極めるには年季がいります(笑)
同じように見える作業を繰り返しながら、その積み重ねが経験となり、一つ一つを見極める目が養われると思います。
これからも現場に立てる限り、革に触れ続けていきたいと思っています。
駒屋では、設計、試作、裁断、革漉き、縫製、仕上げまで、多くの職人たちが連携しながらものづくりを行っています。
その中で大橋さんは、製品の品質を左右する裁断工程を長年支え続けてきました。 一枚の革を見極める経験と技術は、今日も駒屋の革製品づくりに受け継がれています。