革小物製作1級職人・篠原さん|駒屋のサンプル職人インタビュー
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CRAFTSMAN
ガラス職人から革職人へ。
サンプル職人・篠原さんが歩んできた道
財布や革小物が形になる前に作られる、“最初のひとつ”。
その製品の完成度を左右する重要な工程を担っているのが、サンプル職人の篠原さんです。
現在は革小物製作の1級資格を持ち、認定試験第1回目で資格を取得した職人として、 駒屋のものづくりを支えています。
しかし、その職人人生は少し異色でした。
ガラスの世界から、革の世界へ

篠原さんは、かつて理化学ガラスの技術者として働いていました。
ガスバーナーでガラスを溶かし、成型する仕事を20年以上。 高温の炎を扱いながら、精密な加工を行う日々を送っていたといいます。
そんな篠原さんが革の世界へ転じたのは、42歳のとき。
「親族が鞄関係の仕事をしていたこともあり、 革には幼いころから慣れ親しんでいたんです。 それに、己の腕一本で生きていくという意味では、 ガラス職人も革職人も同じですから」
素材は違っても、“手仕事”への向き合い方は変わらなかったと言います。
毎日が勉強。だから飽きない
実際に革の仕事を始めて驚いたのは、その奥深さでした。
革は種類によって硬さも表情も異なり、 同じ革でも厚みや仕上げによって製作工程が変わります。
わずかな違いが、使い心地や仕上がりを大きく左右する繊細な素材。
「いまも毎日が勉強です。だから、全然飽きないですね」
長年経験を積んだ今でも、新しい発見がある。 それが革という素材の魅力でもあります。
職人の個性を活かすものづくり
駒屋では、職人それぞれの感覚や技術を大切にしています。
仕上がりの品質を守りながらも、 製作のプロセスは職人に委ねられている部分も多くあります。
例えば、接着剤の塗布。 一般的にはヘラを使うことが多い工程ですが、 篠原さんは刷毛を使用しています。
手間はかかるものの、塗りムラを抑え、 より安定した仕上がりにつながるからです。
そうした細かなこだわりは、技術認定試験でも発揮されました。
篠原さんは課題試験に、自身が得意とする「無双仕立て」を採用。 内側まで同じ革を使う高度な仕立てで、自らの技術と個性を表現しました。
【解説】記念すべき「第1回 1級合格」が証明する、篠原さんの圧倒的な技術力
記事の冒頭でも触れた通り、篠原さんは[一般社団法人日本鞄ハンドバッグ協会]が主催する「鞄・ハンドバッグ・小物技術認定試験」の第1回目において、最高峰である「小物部門 1級」を取得した数少ない職人の一人です。
認定証授与式の様子はこちらからこの技術認定試験は、日本の伝統ある皮革産業の発展と、職人の技術を客観的に評価する“ライセンス”として設立された極めて厳格な制度です。その中でも「1級」は、長年の実務経験はもちろん、革という素材への深い造詣と、一切の妥協が許されない精密な仕立て技術を持つ一握りのプロフェッショナルにしか与えられません。
ミリ単位の狂いも許されない「小物」の世界
バッグなどと比較して、財布や名刺入れといった「革小物」の製作は、パーツ一つひとつが非常に小さく、ミリ単位の狂いがそのまま製品全体の歪みや使い心地の悪化に直結します。型紙の精度、革の厚みを調整する「漉き(すき)」の技術、そして寸分の狂いもない縫製――そのすべてが完璧に噛み合って初めて、美しい小物が完成します。
篠原さんが試験で披露した「無双仕立て(表にも内側にも同じ高級な主素材を使う贅沢かつ極めて高度な仕立て)」は、ごまかしが一切利かない技法です。第1回という、まだ前例のない緊張感の中でこの仕立てを選び、見事に1級を勝ち取ったという事実こそが、篠原さんの職人としてのプライドと圧倒的な実力を物語っています。
“最初のひとつ”に宿る、1級職人のプライド
量産化される前の基準となる「サンプル」を作る仕事は、デザイナーの意図を汲み取り、構造上の課題を見抜き、形にする能力が求められます。知識と技術の双方が頂点にある「1級職人」だからこそ、駒屋のクオリティの土台となる“最初のひとつ”を、自信を持って任せることができるのです。
ごまかしの利かない素材だからこそ、技術が生きる
篠原さんは、「革小物は、作った人の手の動かし方や技術の正確さが、そのまま形になって現れる」と言います。
ミリ単位のズレも許されない精密な世界だからこそ、職人の感覚や基本に忠実な仕立てが、製品の使い心地や耐久性を大きく左右します。だからこそ、1級資格に裏付けられた確かな技術が活きてきます。
ガラスの技術者から革の世界へ転じ、サンプル職人として20余年。
「毎日が勉強」と語るその姿勢は、キャリアを重ねた今も変わることはありません。
駒屋は全員野球。
今回ご紹介した職人の技術も、 裁断、革漉き、設計、縫製、検品、営業など、 多くの仲間たちの力があって初めて製品として形になります。
駒屋のものづくりについては、会社紹介ページでもご紹介しています。